画像: ©Game Science. Black Myth: Wukong.
中国のスタジオGame Science(遊戯科学)が開発したアクションRPG「黒神話:悟空」が2024年8月20日にPS5・PC向けに発売された。中国の古典『西遊記』を題材に、Unreal Engine 5で描かれた圧倒的な映像美と骨太なボス戦で発売前から世界的な注目を集め、発売からわずか4日で全世界1,000万本を突破。その後も売上を伸ばし続け、2026年には累計3,000万本を超える歴史的なヒット作となった。中国発の大型AAAタイトルとして初めて世界的な商業的・批評的成功を収めた作品としても記憶される一本だ。この記事では各メディアのレビューを総合しながら、本作の特徴を客観的にまとめていく。
基本情報
| タイトル | 黒神話:悟空(Black Myth: Wukong) |
| 対応機種 | PlayStation 5/PC(Steam・Epic)。Xbox Series X|S版は2025年8月20日発売。Nintendo Switch・Switch 2版はなし |
| 発売日 | 2024年8月20日 |
| ジャンル | アクションRPG |
| 価格目安 | PS5ダウンロード版 7,590円(税込) |
| レーティング | CERO D(17才以上対象) |
| 開発・発売元 | Game Science(遊戯科学)。プロデューサー:馮驥 |
| 言語 | 日本語は字幕のみ対応(音声は中国語・英語) |
※価格は時期・エディションにより変動します。購入前に各ストアで最新価格をご確認ください。
どんなゲームなのか

画像: Steamストアページ
『西遊記』の“その後”を描く物語
本作は『西遊記』の後日談にあたる。天竺への旅を終えた斉天大聖(孫悟空)は、やがて天界と対立して倒され、その力は「六根」と呼ばれる6つの根源に分かたれて各地に封じられた。プレイヤーが操るのは、失われた悟空の力を取り戻すべく旅立つ、名もなき猿の妖怪「天命人(てんめいじん)」。西遊記に登場した妖怪や仏尊たちが、原典とは異なる姿・立場で次々と立ちはだかる。中国の神話・仏教美術・建築を徹底的に取り込んだ世界観の作り込みが、各メディアで高く評価されている。
章立てで進む半オープンの冒険
ゲームは全6章の構成で、それぞれ異なる土地(火焔山、雪山、砂漠の古刹など)が舞台となる。マップは一本道の区間と探索可能な広場が入り混じった「半オープン」の設計で、寄り道の先には隠しボスや強化アイテム、追加ストーリーが用意されている。章の合間には墨絵やアニメーションで語られるムービーが挿入され、各妖怪の悲哀に満ちた背景が明らかになっていく。
システム面の見どころ

画像: Steamストアページ
如意棒による棒術と3つの構え
戦闘の主軸は、伸縮自在の如意棒を振るう棒術だ。「劈棍(振り下ろし)」「立棍(棒で体を持ち上げ空中から攻撃)」「戳棍(突き)」という3つの構えを切り替え、軽攻撃で「識(スタミナに近いリソース)」を溜めて強力な溜め攻撃を叩き込む。回避に成功した直後のカウンターや、敵の攻撃を棒でいなす動きも用意されており、アクションの手触りは硬派でスピーディー。
法術・変身・分身で戦術に幅を出す
棒術に加えて、敵の動きを一定時間止める「定身術」、自分の毛から分身を生み出す「身外身法」、倒した妖怪の姿に変身して固有の技を使う「変化(へんげ)」など、多彩な法術・能力が戦いを彩る。強敵の攻撃をどう凌ぎ、どの能力を差し込むかというパズル的な組み立てが、ボス戦の攻略感につながっている。
とにかくボスが多い、ボス偏重の設計

画像: Steamストアページ
本作最大の特徴として多くのレビューが挙げるのが、ボスの物量だ。中ボス・大ボスを合わせると80体以上が登場し、それぞれ固有のモーションとギミックを持つ。難易度選択はなく万人向けとは言えないが、死亡してもリソースを失わないため理不尽さは抑えられており、「フロム・ソフトウェア以外のスタジオでも一級のアクションRPGを作れることを示した」と評された。
高評価ポイント
- Unreal Engine 5による、中国神話・仏教美術を落とし込んだ圧倒的なグラフィックと世界観
- 3つの構えと法術・変身を組み合わせる、歯ごたえのある棒術アクション
- 80体を超える個性的なボスと、その背景を描く章間ムービーの完成度
- 『西遊記』の“その後”という切り口で原典を再解釈したストーリー
- デビュー規模のスタジオとは思えないボリュームと作り込みの密度
各メディアのスコア
- Metacritic: 81/100(PC版)、76/100(PS5版)
- IGN: 8/10
- GameSpot: 8/10
- PC Gamer: 87/100
- Steam ユーザーレビュー: 「非常に好評」〜「圧倒的に好評」
The Game Awards 2024では最優秀アクションゲーム賞とプレイヤーズ・ボイス賞を受賞し、年間最優秀作品賞(GOTY)にもノミネートされた。国内でもファミ通・電撃ゲームアワード2024で特別賞を受賞。売上は発売4日で1,000万本、2025年2月に2,500万本、2026年には3,000万本を突破し、近年でも屈指のセールスを記録している。
気になる点
- 難易度設定がなく、一部のボスは要求される反射神経・パターン把握が厳しい
- 日本語は字幕のみで音声非対応。中国の故事や仏教用語が多く、予備知識がないと物語を追いにくい場面がある
- マップにファストトラベル地点が多くない章があり、探索の導線がやや不親切
- PS5版はMetacriticスコアやパフォーマンス面でPC版に一歩譲る
ジャンルの中での位置づけ
「黒神話:悟空」は既存シリーズの続編ではなく、Game Scienceが放った完全新規IPだ。死亡ペナルティが緩く、探索よりボス攻略に比重を置いた作りは、いわゆる「ソウルライク」よりも『ゴッド・オブ・ウォー』や『SEKIRO』に近い、アクション寄りの体験になっている。中国の一次資料を大量に取り込んだ美術と、AAA級の技術力を両立させた点で、これまで欧米・日本のスタジオが独占してきたハイエンドアクションRPGの市場に、新たなプレイヤーが加わったことを強く印象づけた作品と言える。
機種による違い
Metacriticのスコアや描画設定の自由度ではハイスペックなゲーミングPC版が最も高く評価されている。PS5版はスコア76で、可変フレームレートやロード面でPC版にわずかに及ばないものの、家庭用ハードで手軽に本作の映像体験を得られる選択肢として十分に評価されている。Xbox Series X|S版は最適化に時間を要し2025年8月の発売となった。国内で家庭用機で遊ぶ場合はPS5版が基本の選択肢だ。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
おすすめな人:手応えのあるボス戦アクションが好きな人、『SEKIRO』『ゴッド・オブ・ウォー』のような一対一の攻防を楽しみたい人、東洋的な世界観やハイエンドなグラフィックを重視する人、『西遊記』の物語に興味がある人。
おすすめしない人:難易度を下げてストーリーだけ気楽に追いたい人、日本語ボイスがないと没入しづらい人、ボス戦よりも自由な探索やクエストの積み重ねを重視する人には合いにくい。
まとめ
「黒神話:悟空」は、中国の新興スタジオが『西遊記』を題材に作り上げた、映像・アクション両面でAAA級の完成度を持つアクションRPGだ。Unreal Engine 5の美しいグラフィック、3つの構えと法術を組み合わせる棒術、80体を超えるボスとの死闘が高く評価され、Metacritic81点(PC)・The Game Awards最優秀アクションゲーム賞・全世界3,000万本という結果につながった。骨太なアクションを求めるプレイヤーにとって、2024年以降を語るうえで外せない一本と言える。